思春期である中学、高校生のPMS(月経前症候群)や月経痛について
こんにちは。
京都の鍼灸治療院、 けいらく鍼灸院 泰楽の院長、鍼灸師の勝田です。
最近、思春期である中学、高校生の女の子の月経に関するお問い合わせがあり、鍼灸師として今一度考えてみましたので文章にしてみました。
★原因
西洋医学的には、女性ホルモンの影響が非常に大きく関与いたします。
排卵後妊娠に導くために増えるプロゲステロン(黄体ホルモン:P4)は、PMS(月経前症候群)の原因になると言われており、眠れない、イライラする、全身倦怠感など各種体調不良を引き起こします。
また、排卵後妊娠に至らなかった場合、月経を起こさせるために子宮内膜からプロスタグランジン(PGE2)が生成されます。プロスタグランジンは、痛みや発熱などを引き起こす物質です。同時に子宮内膜が剥がれ落ちるよう作用したり、内膜を血液とともに排出するために子宮を収縮させる作用があります。
生理痛は、出産(陣痛の予行練習)の準備なんて言われ方をいたしますが、女性にとっては毎月痛みや不快感などがあることですので非常に生活の質を下げてしまうことです。症状の軽減や改善は非常に重要なことです。
東洋医学的には、月経痛のことを「痛経」と言います。痛経を引き起こす原因は、「気・血・水(津液)」のバランスが崩れた時に起こると言われています。逆に言うと、バランスが崩れていなければ痛経は起こらず、正常な月経とされます。言い換えますと「健康な体では、生理痛が起こらない」と解釈することができます。
月経に関する気・血・水(津液)のバランス異常は、気の不足(気虚)や血の不足(血虚)、気の滞り(気滞)や血の滞り(於血)などがあります。
気、血などと言われるとよくわからないと思いますが、単純に体を流れるものが止まってしまったり、不足してしまったり、逆に多すぎて溢れてしまったりすることを指し、異常があれば痛経は起こり、異常がなければ起こらないということになります。
初潮後まだ間もない時期の中学、高校生は、女性ホルモンの分泌量も不安定です。それが原因で月経痛を強く感じることがあります。また、月経は通常28日(正常周期は25~38日)程度で起こるとされていますが、1~2か月とんでしまうこともそれが原因です。
一般的に女性ホルモンの分泌量が安定するのは18歳前後とされています。その時期を境にして月経痛などの症状が軽減することもあれば逆に重くなることもあります。
★治療法や予防法
西洋医学的には、プロスタグランジンの作用を穏やかにする非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の痛み止めが処方を受けることが一般的です。商品名で言いますとアセチルコリンが主成分のアスピリンやバファリン。イブプロフェンが主成分のイブ。ロキソプロフェンが主成分のロキソニン。ジクロフェナクが主成分のボルタレンなどとなります。
痛み止めだけで効果が見られない場合は、ピル(低用量ピル)の服用を並行して行い月経に関する痛みや不快感を軽減することを目的にいたします。近年では、ピルの処方も一般的になってきており症状軽減、回復の手段としての選択肢にしていただいても良いと思います。
薬の処方や服用については、医師や薬剤師に相談の上、実践していただければと思います。
東洋医学的には、痛経(生理痛)は、「気・血・水(津液)のバランスが崩れた時」に症状が出ます。治療としては、「気、血、水(津液)」の流れの調整をし、五臓六腑の動きを正常化することをもくてきとします。特に、肝、腎、脾の気のバランスが非常に重要です。体の状態は、常にバランスを取ろうとしていますが、簡単に崩れてしまうものです。症状がある時だけでなく、日常的にコントロールしておくことが望ましいと考えます。
鍼灸治療では、肝、腎、脾の気のバランスをとるために3つの流れの主要のツボが多い膝から下の治療を重要視いたします。
施術の際は、副交感神経を活発にするように非常に微細な刺激をすることを心がけ、患者様に心を落ち着けてもらえるようにし精神的にも肉体的にもリラックスしていただけるようにいたします。「極微細な刺激は、脳の活性化にもつながる」といわれホルモンバランスの安定感を出すことの手伝いとなります。また、痛経は、血(血液)の流れが悪くなるとやはり症状は悪化傾向を辿るため、鍼灸の考え方である「鍼は、気を動かし、灸は、血を動かす」と言う言葉のもと、お灸の治療を積極的に取り入れることがよいです。
自宅でできる最も有効と思うことは、体を冷やさないことです。絶対に冷やしてはいけない箇所は下腹部から足にかけてで、特に重要なのは膝から下です。入浴で温めることもいいですし、夏場はエアコンや扇風機の風が直接足に当たらないように工夫するや冬場は肌を露出して冷えないように靴下やタイツなどで守ってもらうことをしてください。
鍼灸師の私としては、足ものと冷えの有無で月経痛の症状の強い、弱いがあるように感じております。その点を十分にご注意ください。
最後に…。
月経痛は、非常に身近でありながら生活の質を著しく変化させてしまうものです。症状の強さの程度は、それぞれですが誰しも抱える悩みです。月経痛には機能性月経困難症と器質性月経困難症があります。機能性のものはいいのですが器質性のものは予期せぬ病変が潜んでいる場合があるので要注意です。
中学、高校生で婦人科を受診するのはハードルが高いかもしれませんが、生活に支障が出る(毎回学校を休まないといけない)ほどの症状がある場合は、身近な大人の人に相談してみてください。「薬を飲みたくない」という方もいると思いますが、「低用量ピルを処方してもらうためではなく、病気がないか?」を確認するために婦人科の受診も考えてみてください。
器質性月経困難症ではない場合、治療法や予防法で書かせていただいた通り、自宅でできる対処法も様々あります。ご自身に合った対処を試してみてください。
関連記事
京都の鍼灸院 泰楽の鍼灸治療は、温かいお灸と心地よい鍼です。
熱いお灸と痛い鍼はいたしません。
冷え性、不妊症は、お灸で治療!!
お灸でできること
体を温め、免疫力向上!
京都市中京区の鍼灸院 けいらく鍼灸院 泰楽(たいらく)
京都市中京区 京都市営地下鉄京都市役所前駅徒歩3分
検索
カレンダー
< |
> |
|||||
日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |